想定事例

ここでは、記者会見の事例を挙げてみましょう。このサンプルは、架空の話です。<設定>日本で1,2を争う電子部品メーカー2社(A社、B社)のトップが最近、会合を持ちました。2社は全面的な提携を視野に入れて、極秘で数度会っていました。ある日、この情報を手に入れたある新聞社の記者から、A社の社長へのインタビューの申し込みがありました。広報担当者は、この記者がかなりの情報をもっていることが分かったため、一旦社内で検討することにしました。なぜなら、取材拒否もできたわけですが、何も答えなかった場合、憶測のまじったスクープ記事を書かれてしまったら、提携交渉自体に悪影響がでるかもしれません。インタビューに応じようが、応じまいが記事を書く様子であったため、ある程度の情報を提供し、現状について誤解のない記事を書いてもらうように、という結論が出ました。

社長 わたくしどもA社と、日本でも最大手の電子部品メーカーであるB社は、生産、販売、環境技術などの幅広い分野で協力をしていく提携ができないかということで、トップ同士の会談を昨年の8月より3回持ちました。現段階ではトップ同士の話し合いのみで、B社会長の××氏と私が親睦を深めながら、どのような形態での提携が可能か議論を始めた段階で、まだなにも決定しておりません。わたくしどもは、B社の手作りとも言える製造の完璧さを高く評価しており、B社は、我々の効率的な製造方法にご興味を持っていただいたようです。提携しない可能性もございます。話し合っているのは、提携であり、合併や買収の話はまったくありません。これが現状です。
質問 幅広い分野の提携ということは、資本提携も入りますか
答え 提携が実現すれば、それも選択肢の一つでしょう。
質問 資本提携はあっても、買収や合併はないのですか。
答え 買収や合併は話し合いにはのぼっていません。提携が実現したのちには、お互いの株を持ち合うことは選択肢としてあるでしょうし、共同出資で工場をつくることもあるえます。
質問 共同で工場を作るということは、両者のあたらしいブランドを立ち上げて製品が作られるということですね。
答え そういう選択肢もありえますし、既存の製品を生産して、両社の流通網で売ることも考えられます。
質問 共同の流通網を作るということは、新会社の設立を意味しているのでしょうか。
答え それは考えていません。
質問 では、その販売網はアメリカが候補地ですか?
答え その質問には、現時点ではお答えできません。両社ともさまざまな分野で提携するにより、お互い大きなメリットがあると考えていますが、まだ何も決まっていないのです。具体的にどの分野の提携が両社にとって一番メリットがあるかを模索している段階です。
質問 A社もB社も製品の約半分はアメリカで販売されていますよね。ということは二社の提携でアメリカにおけるプレゼンスはものすごく大きなものとなりますよね。
答え それはないでしょう。二社の販売数を合わせた数が一社の販売数とされることはありません。
質問 提携の基本にはアメリカ市場戦略があるのは間違いないですね。
答え 必ずしもそうとは言えません。提携によって両社の世界市場での販売戦略にどのようにメリットがあるのか検討中ですから。
質問 では、どのようなきっかけで提携の話し合いがなされたのですか。その背景をお聞かせください。じつは、アメリカT州の工場合併の話が発端と聞いたものですから。
答え 発端ということでは、それは正しいですね。T州では、工場が隣接していまして、以前から交流がありました。そこへ、州法の改正により、両社工場が合併すると税金などの面で非常に有利であることが分かったのです。発端はそういったところです。もちろん背景には、ユニークなアイデアですとか、その他さまざまな面でB社をとても尊敬しておりますし、B社は、我々の効率的な製造方式に興味があるのです。このような訳で、先に戦略ありきではなく、先に提携メリットあり、で話し合いましょう、というのが現状です。
質問 そうですか、これからの話し合い、ということは、買収や合併もありうるというわけですね。
答え それはまったくありません。買収・合併はまったくないとお考えください。ご理解いただきたいのは、このように何も決まっていない段階でマスコミの方にお話をすることはないのです。しかし、今回は、いろいろと情報を手に入れておられるようですので、間違ったことを書かれて、さまざまな方面の方にご迷惑をかけるよりは、このように現状をきちんとご説明するほうがよいと判断してお会いしているのです。買収や合併はないということを、明確に伝えていただきたいのです。 といったように、会見は続きます。

このような会見で重要なのは、

  • A社とB社はさまざまな分野で提携ができないかをトップ同士で話し合っている。
  • 現時点では結論はでていない。したがって提携しない可能性もある。
  • あくまでも提携であって、買収・合併の話はない。

ということを明確に説明することが大切です。
「ここまでは、話すがこれ以上の話はしない」ということをふまえて話す内容を組み立てましょう。

たとえばこの例では、

  • 提携の内容である生産、販売、技術の詳細は話さない
  • 提携活動が行われる可能性のある国については話さない。
  • アメリカでの活動が含まれる程度はよい。

といったことです。

会見がなかった場合は、「買収」や「合併」といった文字が新聞に躍るかもしれません。そのようなことのないように、話をするのが重要です。
このような会見におけるQ&Aなどが作成できれば、準備万端です。

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