媒体別の対応

「各メディアで異なる対応の応用」

ここまでは、メディア全般への対応を示してきましたが、メディアによって対応の方法も異なってきます。そこで、この項では、マスコミ別の対応を探っていきましょう。

「新聞」

一般紙

一般紙は、全国紙と地方紙に分けられます。全国紙は、全社あわせて5000万部ほどで、一社平均800~1000万部の発行部数をもちます。地方紙は、県単位のものと、隣接する県をまとめたブロック紙があります。全国紙は、発行部数も多いのでそれだけ社会的影響力が強いと考えておきましょう。その反面、読者は、不特定多数ですので、全国紙の記者とのインタビューでは、平易な、わかりやすい言葉をチョイスしましょう。そして、一般紙では、特集記事でもないかぎり、一つの記事にさけるスペースは限られていて、とても小さなものです。インタビューをうけても使われる部分はほんの少しか、ポイントだけ、と考えておきましょう。一般紙では、記者あるいは、カメラマンが同行して写真を撮ることがあります。広報で写真を用意することもあるでしょうが、他で使われた可能性のある写真を一般紙としては嫌います。ですので、写真を撮ることを念頭に服装はあまりラフにならないようにします。また、記者はたいていレコーダーを持ち込みます。もちろんその許可を承諾し、また、広報でも一台レコーダーを準備して、録音しておきましょう。記事になった後の対策に使用できます。

専門紙

一般紙に対して専門紙があり、産業新聞、株式新聞、自動車新聞などが代表例です。土日をのぞく平日発行で、週2回から月一回まで発行形態もまちまちです。産業分野の専門紙の読者は、その業界の人や、関連企業に勤める方です。ですから、専門紙のインタビューにおいては、読者を想定しておきましょう。

「雑誌・専門誌」

雑誌には、週刊から月刊、季刊誌といったように刊行ペースで分類したり、一般週刊誌(週刊新潮、週刊ポスト、AERAなど)、月刊総合誌(文芸春秋など)、ビジネス誌、パソコン誌など内容に分けて分類したります。ほかにも女性誌、コミック誌、ホビー誌など数多くあります。
特集記事を得意として、一つのテーマを深く取材、分析し、体系的な記事や比較分析記事を報道します。パソコン誌やゲーム誌など、消費者にいち早く新製品の内容を公開することで、業界に大きな影響力をもつ場合もあります。
さらに広報部としては、トップ以外のいかにおもしろいネタを提供できる話し手をアレンジできるか、大きく取り上げられるようなネタを提供できるか、腕のみせどころとなるでしょう。 また、インタビュウーイ(インタビューを受ける者)は、細かな専門的な話、今後の展望など多くのことを語ることができます。雑誌のインタビューの場合は、記事が長い分、インタビューイのコメントが直接使用されるチャンスが多くなります。

「通信社」

通信社には、記者とカメラマンがいて、取材をしますが、その記事は加盟社(新聞社、雑誌出版社、テレビ、ラジオ、インターネットなど)や契約者に販売提供しています。全国紙は、通信社の国内記事の配信を受けていませんが、地方紙によっては、通信社の記事を使うところもあります。日本のおもな通信会社は、共同通信と時事通信で、AP、ロイター、AFP(仏)、AFX(中)などの海外の通信社も日本に支局を置いています。

「ラジオ」

ラジオは、提携の新聞社・テレビ局からニュース原稿などを提供してもらって放送をしているので、ラジオ局からインタビューの申し込みがあることはほぼありません。しかし、コメントを求められることがあります。その場合は、テレビやほかのメディアで話すときよりも、「ゆっくり」「明瞭に」発音することが大切です。また、内容も専門的になりすぎないようにしましょう。

「テレビ」

映像としてインパクトのあるものから優先して報道される傾向があります。一時間取材したとしても、使われるのは数分(1~2分程度)、たいていは数秒です。そのため、キーワードなど、重要な語句を「8秒以内」でまとめることも大切です。
映像における、話し方の注意点ですが、マレービアンの法則※によると、メッセージの伝わり方は、「ボディランゲージ(視覚的内容)」が55%、「声調・トーン」が38%、「言語内容」が7%だということです。このことからわかるように、見た目のインパクトが人に与える影響が大きい、ということです。つまり、姿勢、身振り、表情、口調、話し方は、訓練によって良くすることが可能です。実際、アメリカでは、メディアトレーニングは、企業のトップにとっては当然のこととなっています。
かようにテレビでは、自分の主張を理解してもらうためには、服装・表情・しぐさは目立たないようにするべきです。たとえばチェック柄は、テレビだとチカチカして見えるので、避けましょう。小さな動きでも、大変目立ちますし、軽率な「うなずき」は、控えます。「御社のインサイダー疑惑の件ですが」と聞かれ、クセでうなずいてしまうと、視聴者には、それが肯定の意味に取られてしまいます。さらに、準備した原稿を読む場合でも、文章の切れ目で原稿に目をやり、内容の部分は顔をあげるほうがよいでしょう。

※ アルバート・マレービアン(メラビアン)アメリカの心理学者。

一般紙と業界紙の違い

一般紙にくらべ、専門紙の記事は業界向けで、やや長いものとなり、最先端技術に関することや、新サービスに関することに紙面をさきます。一般紙の求める情報は、新製品や新工場・子会社設立・新規事業・海外事案などですが、専門紙では、一般紙が取材する情報に加え、売れ筋情報・部長級人事、中堅幹部へのインタビューなどです。一般紙の記者は、特定業界の商品知識に関しては、薄いものですが、発表者の役職にはこだわりません。また、具体的な数字にもこだわらない傾向があります。

一般紙と業界紙で記者会見は分ける?

記者会見では、一般紙と専門紙を分けることがあります。なぜなら、一般紙と専門紙では、取材内容に違いがあるためです。たとえば、一般紙では、社会的な関心事項に興味を持ちますが、専門紙は業界向けの専門的なニュースに関心を持ちます。ときにあるメーカーでは、一般紙を中心に午前中に社長が会見をして、午後業界向けに担当役員が会見をする場合がある。このとき、業界紙向けの記者会見に社長が出ることはありません。それは、数字など細かな内容を一番把握しているのが担当役員だからです。質疑応答などでも、専門的な細かな部分まで答えられるように担当役員などが対応します。 つまり、記者にとって一番知りたいことを的確に答えられるように、という意図があるのです。

記者会見の応用(コンテンツ一覧)
  1. 媒体別の対応
  2. 部署別の対応
  3. 海外媒体への記者会見
  4. 記者クラブと使い方
記者会見に関するお問い合わせ・お申し込み
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