東京銀座メディアブリッジコンサルティング( MBC )では、テレビ、新聞、雑誌、ラジオから、ウェブ媒体を網羅した記者会見の企画から運営までをワンストップでサポートする「記者会見 / プレスイベント企画運営サービス」を提供しております。ここでは、 MBC のこのサービスを利用していただいた一例として、 2009 年 1 月 14 日にアイルランド政府商務庁・アイルランド政府産業開発庁が合同で開催した「アイルランドトレードビジネスミッション japan2009 記者発表会」についてご紹介いたします。この記者会見は日本初来日となるアイルランド首相「ブライアン・カウワン」を迎え、アイルランドと日本、両国のビジネスマッチングの強化とアイルランド国の PR を兼ねて実施されました。
国規模の PR を兼ねた記者発表会であったため、多くのメディアを集めることは当然のことながら、記者発表会自体のクオリティの高さと、綿密なスケジュール調整による完璧な VIP のアテンドを求められた業務でした。また、同時に来日されたアイルランド企業団のアテンドや日本メディアとのマッチング等、単純な記者発表会の実施ではなく、アイルランドの広報機能を任された、絶対に失敗のできないプレッシャーに包まれた業務となりました。当サイトをご覧いただいている皆様に、国規模の記者発表会の全てをご紹介したいところですが、壮絶なボリュームになることが予測されるので、ポイントをまとめてご紹介させていただきます。
08 年 9 月に「 アイルランドトレードビジネスミッション japan2009 記者発表会」の準備がスタートしました。先ずは、アイルランド政府商務庁日本代表と同政府産業開発庁日本代表から今回のプロジェクトコンセプトについて説明がありました。告げられたコンセプトは「アイルランド企業と日本企業の関係強化」でした。初来日するアイルランド「ブライアン・カウワン」首相は、記者発表会実施後には麻生首相や、その他日本の要人との会談、会食等が予定されていたため、前哨戦という意味合いからも、絶対に記者発表会を成功させなければなりませんでした。
日本国内での認知は低いものの、アイルランド企業と日本企業の接点は以外に多く、様々な分野でコラボレーションをしています。今回は、アイルランド「ブライアン・カウワン」首相が日本企業とコラボレーションしている企業を含め 80 社に及ぶ企業団を引き連れて初来日し、所見を述べ、更に今後の取り組み強化施策について発表する予定となっていました。
そこで、両アイルランド所轄官庁(商務庁・産業開発庁)からは、来日を予定している企業の中で、希望があった企業のリリース作成を依頼されました。リリース作成依頼のあった企業に対しては、日本メディアの構造や文化等について詳細を説明し、それと合わせてリリース作成を実施しました。申し出のあった企業は 16 社となり、専門用語での翻訳や説明が要されたので、地味ではあるが大変な作業となりました。
今回のマスコミ誘致では、情報価値のある話題で効果的なメディア露出を図るために、メディアのフックとして、 ” バンクーバー冬季五輪( 2010 年)新種目、「スキークロス」を軸にメダル獲得!」とタイトルで興味を引かせるプレスリリースを作成。約 300 媒体に配信しました。元アルペン日本代表選手 平澤 岳氏が設立とのニュース性もあり、スポーツ新聞をはじめ、総勢 60 名以上のマスコミ関係者にお集まりいただき、非常に賑やかな記者発表会となりました。
記者発表会開催リリース
運営マニュアル(全体)
司会台本
進行管理台本
テクニカル用台本
同時通訳専用マニュアル
アイルランド政府商務庁紹介パンフ
アイルランド政府産業開発庁紹介パンフ
プレスキット(全体)
首相スピーチ原稿
ざっと打ち出しても、これだけの準備が英日2パターンで必要となりました。特に当日の首相の導線(動き)については発表会前日まで追加・修正がされるなど、完璧に仕上げるために様々な調整が実施されました。
もちろん首相やその他、 VIP を含めた合同のリハーサル等実施されるわけがなく、殆ど「ぶっつけ本番」の状態でどれだけスムーズに進行管理ができるか、 MBC に託されたプレッシャーはピークを迎えていました。
事前の仕込み(準備)活動の話に戻りますが、先ずは決定されたリリースを MBC 独自のデータベースで各マスメディアに一斉配信すると共に、外務省記者クラブ、情報通信記者クラブ(来日企業団の関係)、エネルギー記者クラブ(来日企業団の関係)へと資料配布を実施しました。 MBC 内には商務庁、産業開発庁の合同の広報事務局が設置されていたため、リリース配信後の各マスメディアからの問合せについては、対応を実施しました。特に個別インタビューの申し込みについては、念入りにインタビュー内容や時間等について調整をする必要性がありました。首相のタイトなスケジュールを管理しながら、限られた時間で個別取材を実施するため、合同個別取材も視野に入れた調整を実施することになりました。個別取材の申し込みのあったメディアは、あくまでも個別の取材(独自の取材)を強く希望されるため、合同取材へと導く場合は各メディアのストレスを出来る限り廃除する形での微調整と交渉が要されます。
また、今回の記者発表会の最終目標が「主要テレビ局からの取材獲得」と打ち出されていたため、テレビプロモートを最も得意とする MBC にとっても腕の見せ所となりました。狙うテレビ媒体は明白。最高峰の民間経済番組と国営放送です。ここで選定されたのが、最高峰の民間経済番組として「ワールドビジネスサテライト(テレビ東京)」と国営放送「 NHK 」です。
先ずは NHK です。 NHK は国営放送ということもあり、正式な取材要請を大使館から入れることで、獲得できる可能性が高くなります。これらの情報を商務庁、政府産業開発庁経由で大使館へと提供し、そして取材要請を入れてもらいました。結果、成田空港到着時から NHK の取材を獲得することに成功しました。
続いて民間放送局の「ワールドビジネスサテライト」です。 MBC のテレビプロモートの大半を占める手法が制作会社経由の取材獲得です。番組制作の音頭を取るのは局側の人員ですが、現場の音頭は制作会社が取ることが多いため、「下からの押し上げ」戦法により、取材獲得を成功させることが多々あります。
しかし、今回のミッションは「国レベル」の大きな規模の企画であったため、議論に議論を重ねた結果、局のプロデューサーへ直接持ち込むことになりました。但し、何がしかの「お土産(取材するメリット)」を提供しなければならないので、ここでは「 1 社独占取材(民放)」をお土産にして話を持ち込むことになりました。早速、日頃からお付き合いをさせてもらっている局プロデューサーへ連絡を入れ、資料を揃えて MTG に望みました。こちらも結果は取材獲得成功です。記者発表当日からカメラを回し、当日放送というスケジュールになったため、迅速に資料の手配から、当日のスケジュール等について MTG が重ねられました。
出来る限り多くのメディアを誘致することは記者発表会において重要課題のひとつです。しかし、効果的な露出が獲得できなければ、記者発表会を開催した意味を半減させてしまいます。規模の大きな記者発表会を実施する場合は、発表内容の規模・ニュース性に甘えることなく、一番効果的な報道露出をイメージして取り組まなければなりません。今回のケースで言えば「アイルランド首相日本初来日・・・」というキーワードに甘えず、「メディアが集まって当たり前」ではなく「出来る限り多くのメディアに取り上げてもらう」という気持ちで望むということです。
それでは、最後に記者発表会当日の模様をご紹介いたします。
記者発表会当日、一番重要なのは、スタッフのポジション取りです。準備された資料(進行管理表や台本)を基に、自分の役割をよく確認し、どれだけ「気」を使えるかです。
回りに気を配り、細かいことでもいかに迅速に対応できるか、これこそが記者発表会を成功させるための秘訣です。
役割は、総合プロデューサー、アイルランド VIP アテンド専門ディレクター、メディア対応ディレクター、同時通訳担当スタッフ、受付スタッフと細かく分担をし、インカムとサインによるコミュニケーションで記者発表の運営を実施します。記者発表会へ参加したメディアは、 38 媒体 60 名と日本と代表するメディアや各ジャンルの専門紙誌の記者・編集者が多く集まりました。来日した企業団や関係者を含めると 200 名近く集まり、大規模な記者発表会となりました。初来日を果たしたブライアン・カウワン首相のスピーチには多くの注目が集まり、緊張感溢れる中、 20 分に渡り所見と今後の展開について発表がありました。日本企業との関係強化についても、多くの発表があり、共感を受けたメディアからも賛同を受け、大きな拍手が巻き起こりました。記者発表会に限らず、大きなイベントの成功の有無を図る一つの要因として、「主催者と来場者が一体になれたか」があります。今回開催された アイルランドトレードビジネスミッション japan2009 記者発表会は、「共感と共鳴」そして「決意」と、様々な点で主催者と来場者が一体になれた発表会となりました。もちろん NHK とテレビ東京の取材も滞りなく実施され、アイルランド政府商務省、政府産業開発庁、更にはアイルランド大使館の関係スタッフに大満足してもらえる記者発表会となりました。